化学的有害廃棄物
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1.化学的有害廃棄物とは
化学的有害廃棄物とは、以下の物質を含む液状または固形の廃棄物を指します。
- 処理処分に法規制のある物質
- 発火爆発性・生体毒性・環境有害性などを有する物質
- 投棄が難しい性状の物質
- 上記の物質が触れた容器の3回目までの洗浄水
学内で発生した化学的有害廃棄物は、排出者が適切に分別し、環境安全研究センターに排出しなければなりません。環境安全研究センターに無断で、化学的有害廃棄物を学外に排出することは禁止されています。
2.分別・保管方法
※2020年1月7日より新化学物質管理システム(UTCIMS)移行に伴い、手順が一部変更となりました。伝票の作成方法などの詳細はUTCIMSのページ(学内アクセス専用)を確認してください。
<分別方法>
化学的有害廃棄物の排出者は、「化学的有害廃棄物分別早見表」に基づきその廃棄物の分類を判断し、適切な容器にその廃棄物を保管します。分別の決定に際しては、「環境安全指針」第II部第4章の表II-4-1もご参照ください。分別の判断に迷う場合は、センターのQ&Aコーナーにご相談ください。また、試薬の廃棄や内容組成の不明な廃棄物の取扱いについては、各リンク先をご確認ください。
<廃液の分別・保管>
B分類以外の各廃液については、東京大学の指定ポリ容器に貯留・保管してください。分別早見表に描かれている通り、各分類に対応する色と大きさの指定ポリ容器(A,C,D,E,F,G,H,I,J,Kの計10種類)があります。指定ポリ容器が新規に必要な場合は、部局の環境安全事務担当者に連絡し、受け取ってください。指定ポリ容器には、最大容量、使用期限、返却方法などが規定されています。その詳細については「指定ポリ容器」をご確認ください。
一方、B分類廃液(遊離シアン系廃液)については、指定のポリ容器はありません。排出者が適切な容量のポリ瓶を各自で用意し、そこに貯留・保管してください。なお、遊離シアン系廃液は、酸性になると極めて有毒なシアン化水素ガスを発生しますので、pHを10.5以上としたうえで貯留・保管してください。なお、後述の通り、B分類廃液は排出者自身がセンターと日程調整したうえでセンターに持ち込み排出することになります。
<固形廃棄物の分別・保管>
有害固形廃棄物に関しては、まずその有害物の種類や母材の材質(紙、ガラス、プラスチックなど)によって小分けしたうえで、各々を透明なポリエチレン袋に入れて密封してください。なお、一つひとつの袋の内容量は10 ㎏以下としてください。それぞれの袋についてUTCIMS(学内アクセス専用)で化学的有害廃棄物処理依頼伝票を作成し、貼付してください。排出の際は、分別したポリエチレン袋からの漏洩を防ぐため、これらの袋をさらに大きなポリエチレン袋にまとめ入れたのちに、L分類廃棄物の場合は蓋付きポリバケツ(容量20 L程度)に入れて、B分類廃棄物の場合は適切な容量の蓋付きポリバケツもしくは広口ポリ瓶に入れて、センターに排出してください(B分類については、後述の通り、日程調整の上センターに持ち込み排出となります)。S分類廃棄物の場合は、年4回の水銀系廃棄物回収の折に排出することになります。
<注意を要する廃棄物>
◎センターで処理できない物質
以下の物質は、原則としてセンターで処理することができません。
- 爆発性物質等、輸送が危険な物質。例えば、硝酸エステル類、ニトロメタン、トリニトロ化合物、アゾ化合物、ニトロソ化合物、ジアゾ化合物、有機過酸化物、ハロゲン化窒素、アジド化合物等。これらの廃棄物に関しては、センターにご相談ください。
- ベリリウム、オスミウム、タリウムを含有する物質。これらの物質については今のところ処理方法が開発されていないため、研究室等で安全に保管してください。なお、これらを含有する廃棄試薬については、センターで受け入れています(廃棄試薬の項で解説)。
- ポリ塩化ビフェニル(PCB)。特殊な廃棄物についてのページで詳述。
・放射性同位元素あるいはそれに汚染されたもの。部局の放射線管理室またはアイソトープ総合センターに相談してください。 - 核燃料物質。部局の環境安全管理室または環境安全本部に相談してください。
- 麻薬、覚せい剤原料、特定毒物等法的制約のため扱えないもの。環境安全本部による取扱いマニュアル又は手引きに従ってください。
◎条件付きで回収する物質
- 労働安全衛生法の製造等禁止物質や向精神薬を含む廃棄物については、事前にセンターにご相談ください。排出に際しては、排出日の1週間前までに排出許可番号の申請を行い、排出許可番号を取得したうえでご排出ください。
- ダイオキシン類を含有する固形廃棄物については、含有濃度10 ng-TEQ/g以下、かつ1回の総排出量を10 µg-TEQ以下としてください。そのうえで、排出日の1週間前までに排出許可番号の申請を行い、排出許可番号を取得してからご排出ください。
- パラジウム炭素やラネーニッケルを排出する際には、まずセンターホームページのQ&Aからご連絡ください。定期回収での排出が可能と判断した際にはセンターより排出許可番号を発行しますので、水で湿らせた状態でL分類排出してください。ただし、パラジウム炭素付着の廃棄物については、過去に許可番号を受けてセンター排出した実績がありそれと同様(量や状態)の廃棄物を排出する場合には許可番号の取得・発行を省略することができます。
- ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ピクリン酸等、消防法の特殊引火物や第5類物質、爆発性の過酸化物を生成しやすい物質を含有する廃液については、これらの物質の総濃度が10%以下となるよう希釈したうえで、排出してください。排出許可番号の申請は不要です。
- 哺乳類・鳥類の血液や体液を含む非感染性の廃液については、不活化処理を行い非感染性としたうえでご排出ください。排出許可番号の申請は不要です。
◎アルカリ金属等発火及びその他特段の危険が懸念される物質
金属リチウム等のアルカリ金属に関しては、研究室で安全に不活化が行える場合には従来どおり行っていただいて構いません。不活化の後に通常の廃液またはL分類として排出してください。一方、少しでも不安が残る場合にはセンターホームページのQ&Aでご連絡ください。火災の原因となるので、活性があるものは決して排出しないでください。
その他特段の危険が懸念される物質(例えばニトロ化合物、アルキル金属化合物、悪臭物質、毒性物質)の排出に際しては、センターホームページのQ&Aでご連絡ください。適宜、排出方法をご相談させていただきます。
3.環境安全研究センターへの排出
※2020年1月7日より新化学物質管理システム(UTCIMS)移行に伴い、手順が変更となりました。伝票の作成方法などの詳細はUTCIMSのページ(学内アクセス専用)を確認してください。
化学的有害廃棄物をセンターに排出する際は、正確に廃棄物の組成(内容物全ての物質名と濃度)を記載した化学的有害廃棄物処理依頼伝票をUTCIMS(学内アクセス専用)で作成し、A5サイズで印刷したものをポリ容器や固形廃棄物小袋に貼付してください。貼付の際は、テープが伝票のバーコード部分や記載事項、指定ポリ容器のバーコードラベルにかからないように注意してください。なお、固形廃棄物については伝票を2部印刷し、1部は小袋に貼付して、もう1部はバケツに入れた小袋単位で束ねてホチキス止めし、回収場所に携行してください。
以下に、伝票の作成における注意事項を記します。
- 廃液の場合にはその体積(リットル)を、固体廃棄物の場合はその質量(グラム)を正確に記入してください。
- 固体廃棄物の場合は、母材が何であるかを記入してください(例えば、廃棄物が「ヒ素が付着したガラス瓶」の場合は、母材の欄に「ガラス瓶」と入力してください)。
- 水を含む廃液の場合は、pHを記入してください。
- 廃棄物が法令上の「特別管理産業廃棄物」に該当するか否かを選択してください。判断基準については「特別管理産業廃棄物の該否判断」を参照してください。
- 上記の「条件付きで回収する物質」等にあたる廃棄物で排出許可番号の発行を得ているものについては、該当欄に記入してください。
- 【最重要】伝票作成時には、UTCIMSでの移動記録に基いて内容物の組成が自動入力されますが、実際の廃棄物の組成と合致するかどうかを必ず確認し、必要に応じて伝票編集機能を用いて内容物の追加・削除・数量修正をしてください。伝票の記載内容は、現物の中身と合致している必要があります。
定期回収の日時と場所は部局ごとに定められています。廃棄物の運搬の際は、転倒・漏洩の無いよう充分に気を付けてください。また、廃棄物に関する確実な情報伝達のため、センターへの排出に際しては原則としてその廃棄物の排出責任者が立ち会うことが必要です。
なお、B分類廃棄物(廃液・廃固体のどちらも)は、上記の定期回収や不定期回収では排出できません。B分類廃棄物については、センターのQ&Aコーナーで必要事項(学部・学科・研究室名、排出者氏名(教職員に限る)、講習修了証番号、容器の種類と容量、pH(液体の場合)、内容物の組成、排出希望日時(第3希望まで))を連絡した後、日程調整連絡を受けて、排出者自身(教職員)がセンターまで持ち込んで排出してください。
4.廃棄試薬
不要になった試薬のうち、以下の条件を満たすものは、「廃棄試薬」としてその容器ごと廃棄することが可能です。ただし、フロン類、ガスボンベ類(スプレーペンキを含む)、アスベスト含有物、放射性物質、核燃料物質、麻薬類、覚せい剤等は対象外です。
・購入時の容器に残ったものであること。
・試薬名がはっきりしていてその表示ラベルがあること。
・液体または個体であること。
・輸送可能な状態であること。
廃棄試薬の廃棄においては、各部局から直接外部処理委託することとなっています。所属部局の廃棄試薬排出責任者にご相談ください。排出責任者を選任していない部局に関しては、環境安全研究センターが外部処理委託の代行をしています(年1回、12月頃)。センターからの事務連絡をお待ちください。なお、ベリリウム、オスミウム、タリウムを含有する試薬については、上記代行処理と同じタイミングでセンターが全部局から回収を行います。
5.内容不明廃棄物
内容不明の廃棄物は、複数の化学物質が混在することが多く、その分析はきわめて困難です。内容不明であるということは、極めて危険な発火爆発性を有している可能性も排除できないということであり、分析以前に、その安全な取扱い方法を確立することさえも困難です。不明廃棄物の分析を第三者機関に委託するにしても、分析項目を明確にできないと委託はできませんし、毒物及び劇物取締法や消防法などを遵守しかつ適正処理を行おうとすれば、1,000種類程度の化学物質の分析を行わなければならないため、莫大な費用がかかることになります。分析項目を特定するためには、その廃棄物の発生に至る経緯などについて十分な調査や検討が必要です。このような内容不明廃棄物の発生は、研究室など部局での化学物質の管理に対する不手際を如実に表すものであり、部局の責任において早急な状況改善が必要となります。
実験者・研究者各位においては、内容不明な廃棄物を発生させることの無いよう、廃棄物の管理を厳正に行ってください。また、万一内容不明廃棄物を発見した場合は、速やかに部局の環境安全管理室経由で環境安全研究センターに連絡してください。