センター長挨拶

環境安全研究センター長: 辻 佳子

大学は、社会的責任として事故の未然防止・安全性確保・コンプライアンスの使命と同時に、環境安全に関するグローバルな素養を身につけた人材を社会に輩出する使命を負っています。近年、大学では、研究の活性化・多様化・学際化、組織構成員の多様化・グローバル化・流動化が加速的に進んでおり、その結果として、リスクについても高度化や複雑多様化への対応が大きな課題になっています。このような状況の中、環境安全を学術研究推進のためのインフラとして捉えるだけの考え方には限界があると感じています。すなわち、複雑多様化が進む研究現場の安全性向上と環境安全における課題解決型人材輩出を達成するためには、「空間」において「人」「モノ」「ユーティリティー」が相互に緊密に関連した複雑系システムである研究現場を対象とした新しい環境安全学創設と、より実効的かつ確実な環境安全教育の再構築が必須であると考えます。

環境安全研究センターは、環境安全に関する高度な専門的知識を備えた異なる背景をもつ教員が連携し、環境安全学としての学際融合研究を推進し、文科系理科系を問わずあらゆる研究分野の環境安全の水準を高めるとともに、その成果を広く国内外に情報発信することを目指す全学センターであります。また、得られた研究成果をもとに、環境安全確保のためのハード的(設備・装備など)およびソフト的(手順・手技・運用など)な方策、環境安全管理手法への適用、合理的かつ実効的・具体的で各専門分野に対応可能なフレキシビリティーを考慮した教育手法構築を行い、環境安全管理・教育への貢献を果たす部局でもあります。組織の枠を超えた学の融合により、日進月歩の研究開発現場を対象として環境安全学の創成および推進のために、2013年度からの第3期より、他部局に本務をおく兼務教員を増員すると同時に、環境安全本部との連携を強化し、本学の研究教育の新規性・多様性・学際性に対応できる環境安全管理・教育を強力に推し進めてきております。

1975年、その前身である環境安全センター発足以来43年間、先人たちが積み上げてきた蓄積を受け継ぎ、環境安全に関する課題のフロントランナーとして未来社会に向けて機動的に取り組み、次代に受け渡すべく前進する所存です。環境安全研究センターが世界の環境安全教育拠点として環境安全教育分野における主導的役割を果たし、また、世界に伍する環境安全管理の手法を確立し社会実装することで、本学が大学における人の流動化、研究の多様性・学際性に対応した安全安心社会の基盤に必須であるコンプライアンス遵守のモデルとなるために、全力を尽くし貢献してまいります。

皆様からのご指導ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。