センター長挨拶

環境安全研究センター長: 角野 浩史
環境安全研究センターは、環境安全学という学際融合研究を推進し、文系・理系を問わずあらゆる分野の研究・教育環境の安全レベルを高めるとともに、その成果を広く国内外に情報発信する全学組織です。また、全学の自由な学術研究の推進のために必須のインフラである環境安全管理・教育を担う部局でもあります。これらの活動を通してセンターは、世界的に競争力を持つ教育研究機関としての東京大学の根底を支えるとともに、法人としての東京大学のコンプライアンス遵守の徹底にも貢献しています。今後、東京大学が国際的に卓越した研究教育環境としてさらなる発展を目指して組織を改編していく中で、今年が創設50周年であるセンターもその本来の使命を果たしつつ、より活発な研究教育活動を推進していく必要があります。
センターは2013年度からの第3期より兼務教員を増員し、環境安全本部をはじめ他部局との連携を強化しつつ、環境安全管理・教育を推進してきました。私は2017年度よりその兼務教員の一員として、先端科学技術研究センターを本務としつつ、駒場キャンパスでの環境安全講習会や、センター内の教育ワーキンググループなどを担当してきました。この度、兼務教員の自分が2025年4月1日付でセンター長を拝命したことには、意味があると考えています。兼務教員の強みは、客観的にセンターの業務を俯瞰し、内外の状況を勘案した上で、今後の運営方針を構想できる点です。そこでセンター長として、センター本務・兼務の全ての教職員の皆様のご協力を仰ぎつつ、本部、他部局、学内外、国内外と密に連携を取り、高度な環境安全研究・教育・管理を全学に実装するというセンター本来の理念を堅持しながら、変化していく学内外の状況に応じて、必要な改革を検討・推進していく所存です。とくにセンターが管理・教育の実務を担うだけの部局ではなく、学際融合研究施設であることに鑑み、例えばセンターの本務・兼務教員がそれぞれの研究力を発揮して連携する研究プロジェクトの立ち上げなど、センターとしての研究力強化のための取り組みを進めたいと考えています。
一方で、変化していく周囲の情勢の中で最も留意すべきことは、全学をあげて研究成果創出の効率化にとらわれるあまり、安全な作業手順の遵守や適切な化学物質・廃棄物の管理が疎かにされることのないよう、センターが目を光らせることと認識しています。法人としての東京大学のコンプライアンスを遵守することと、大学周辺の地域住民をはじめとした、社会からのパブリックアクセプタンスを得ることも忘れてはなりません。東京大学による新たな研究教育活動がこれらをより向上させる方向に進むよう、建設的な提言を行い、理念に鑑み異議を唱えるべきところは唱えるという姿勢で、センターの代表者として行動するよう努めます。
環境安全研究センターは、規模は小さいですが、期待される役割は非常に多岐にわたり、果たすべき責任も大きい部局です。この度、そのセンター長を仰せつかることになり、その重責に身の引き締まる思いですが、センターが本来の使命を果たしつつ、さらに発展できるよう力を尽くす所存ですので、ぜひ皆様からのご指導とご鞭撻、ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。