分析項目と排水基準値

環境基本法には、政府は公共用水域の水質汚濁に係る環境基準を定め、それが確保されるように努めることが定められています。環境基準は常に最新の科学的知見に基づいて見直しがはかられておりますので、基準値を確認する場合には、環境安全指 針などの印刷物ではなく環境省のHPを参照することが推奨されます。(環境省 環境基準のページ

環境基準を確保するための一施策として水質汚濁防止法があり、公共用水域への排水基準が定められています。東京大学の施設のうち、下水道に接続していないものはこの基準を満たす必要があります。(環境省 一律排水基準のページ

各自治体の下水処理場もまた、水質汚濁防止法の排水基準を満たす必要があるため、各処理場の施設能力や処理水の放流先の区分にしたがって、下水道への受入基準を自治体の条例として定めています。本郷、駒場、柏、白金台などの東京大学の主要なキャンパスは下水道敷設地域にあり、それぞれの所在地によって異なる基準を満たす必要があります。本郷キャンパスは三河島処理区にあり、河川の基準が適用される一方、白金台キャンパスは芝浦処理区、駒場キャンパスは森ヶ崎処理区にあり、海域の基準が適用されます。柏キャンパスは柏市の条例が適用されます。

東京都の条例のページへ
http://www.gesui.metro.tokyo.jp/contractor/regulation/information/3kijyun/

柏市の条例のページへ
http://www.city.kashiwa.lg.jp/soshiki/120900/p008871.html

 

下水道に流す排水についての規制値

分析項目 排水基準値(H27.10現在) 解説および注意事項 基準超過をしないためには?
東京都 柏市
水温 45℃未満 45℃未満
水素イオン濃度(pH) 5を超え9未満 5を超え9未満

酸性またはアルカリ性の排水は下水管を腐食させるほか、ほかの排水と混合すると、有毒ガスが発生する可能性がある。

台所用洗剤・漂白剤は原液のまま流さないで下さい。
BOD 600mg/L未満 600mg/L未満

生物化学的酸素要求量。水中の好気性細菌が有機性物質を摂取する際に要する酸素量で、20℃、5日間で消費する酸素量を表す。この値は、屎尿などの生活系物質のほか、実験用飼育動物の排泄物、写真現像廃液、実験室からの可溶性有機物などがある。

食べ残しや飲み残しを流さないようにしてください。
SS 600mg/L未満 600mg/L未満

浮遊物質量。水中に懸濁している物質の量で、不溶性の有機物、無機物すべてがこの値を大きくする原因となる。

食べ残しや飲み残しを流さないようにしてください。
n-ヘキサン抽出物質 動植物油30mg/L 以下動植物油30mg/L以下

水中に含まれる油類の指標で、実験室、検査室、工作室などから出る排水では、鉱油や溶剤類、食堂からは動植物性の油がその対象となる。

油をそのまま流すのはやめましょう。
鉱油5mg/L以下 鉱油5mg/L以下
ヨウ素消費量 220mg/L未満 220mg/L未満

排水中の酸素を消費する還元性物質の量をヨウ素の消費量で表したもの。原因物質としては、硫化水素、亜硫酸ソーダ、硫化ソーダ、チオ硫酸ソーダなどの還元性物質や有機物などがある。

フェノール類 5mg/L以下 0.5mg/L以下
銅とその化合物 3mg/L以下 1mg/L以下
亜鉛とその化合物 2mg/L以下 2mg/L以下 H19.6より基準が強化された。
鉄とその化合物(溶解性) 10mg/L以下 5mg/L以下
マンガンとその化合物(溶解性) 10mg/L以下 5mg/L以下
クロムとその化合物 2mg/L以下 1mg/L以下
ふっ素とその化合物 河川域 8mg/L以下 8mg/L以下

柏市では、平成14年7月1日より適用

海域 15mg/L以下
カドミウムとその化合物 0.03mg/L以下 0.01mg/L以下

東京都では平成26年12月より基準強化(0.1mg/L→0.03mg/L)
大量のカドミウムが長期間にわたって体内にはいると慢性中毒となり、機能低下を伴う肺障害、胃腸障害、腎臓障害等を起こします。 (イタイイタイ病)

全シアン 1mg/L以下 検出されないこと
有機りん化合物 1mg/L以下 検出されないこと パラチオン、メチルパラチオン、メチルジメトン及びEPNのみ該当。
鉛とその化合物 0.1mg/L以下 0.1mg/L以下

重金属水道管、ガス管、酸工業用パイプ、蓄電池、電線ケーブル、合金、放射線遮断材等の用途に幅広く使われている。鉛及びその化合物は、水銀と並んでもっとも毒性の高い物質の一つで、皮膚、消化器、呼吸器等を通して吸収され、体内に蓄積して慢性中毒を起こし、歯のまわりに特有の褐色の縁を生ずるほか、ひどくなると強い関節痛や頭痛を伴う血圧上昇、タンパク尿などの症状を示すと言われている。

鉛配管が使われていることがありますので、熱湯や酸・アルカリを流さないようにしましょう。(鉛が溶け出すため)
六価クロム 0.5mg/L以下 0.05mg/L以下
砒素とその化合物 0.1mg/L以下 0.05mg/L以下

砒素及びその化合物(ひ酸、亜ひ酸、ひ化水素等)は、すべて猛毒であり、皮膚、消化器、呼吸器から吸収されると、骨や内臓に沈積して排出されにくく、慢性中毒を起こし、嘔吐、皮膚の褐黒色化、赤血球の減少、肝臓肥大、乾燥性発疹等の症状を示すと言われている。

水銀とその化合物(総水銀) 0.005mg/L以下 0.0005mg/L以下

総水銀は金属水銀、無機水銀、有機水銀すべての水銀が対象で、アルキル水銀は有機水銀のうち、メチル水銀、エチル水銀などアルキル基と結合した水銀のみが対象である。水銀リレーやマノメーターなど金属水銀を利用した理化学機器、温度計や水銀電池、また、試薬としてよく用いられる塩化水銀(Ⅰ)、(Ⅱ)などの化合物、病院ではこのほかに、体温計の金属水銀、チメロサールといった有機水銀軽傷毒剤、末吉試薬、ハイエム液、ミロン試薬、トリブレー試薬、ネスラー試薬などの検査診断用の塩化水銀(Ⅱ)やヨウ化水銀(Ⅱ)を主剤とした試薬類が多く使用されている。また、廃蛍光灯にも水銀が含まれているのでそのままで廃棄してはいけない。環境安全研究センターが年4回回収している。

水銀体温計、蛍光灯、マノメーターなどの器具に水銀が含まれています。これらのものが破損したときには、流しに入らないように注意しましょう。
アルキル水銀化合物 検出されないこと 検出されないこと
PCB 0.003mg/L以下 検出されないこと
トリクロロエチレン 0.1mg/L以下 0.1mg/L以下

平成27年10月21日より基準強化(0.3mg/L→0.1mg/L)

テトラクロロエチレン 0.1mg/L以下 0.1mg/L以下
ジクロロメタン(DCM) 0.2mg/L以下 0.2mg/L以下

ジクロロメタン、塩化メチレン、二塩化メチレン。溶剤、エアロゾルの噴射剤、冷媒、抽出溶媒などに使用されている。

四塩化炭素 0.02mg/L以下 0.02mg/L以下

カーボンテトラクロライド、テトラクロロメタン、パークロロメタン、ともよばれ、フルオロカーボン類の原料、溶剤、機械洗浄剤、防虫剤などに使用されている。

1,2-ジクロロエタン 0.04mg/L以下 0.04mg/L以下

エチレンジクロライド、塩化エチレン、二塩化エチレンなどともよばれる。

1,1-ジクロロエチレン 1mg/L以下 1mg/L以下,/td>

平成23年12月より基準緩和(0.2mg/L→1mg/L)

シス-1,2-ジクロロエチレン 0.4mg/L以下 0.4mg/L以下
1,1,1-トリクロロエタン 3mg/L以下 3mg/L以下
1,1,2-トリクロロエタン 0.06mg/L以下 0.06mg/L以下
1,3-ジクロロプロペン 0.02mg/L以下 0.02mg/L以下 農薬
チウラム 0.06mg/L以下 0.06mg/L以下 農薬
シマジン 0.03mg/L以下 0.03mg/L以下 農薬
チオベンカルブ 0.2mg/L以下 0.2mg/L以下 農薬
ベンゼン 0.1mg/L以下 0.1mg/L以下

ベンゾールとも呼ばれる。特有の芳香臭を持つ水より軽い無色の液体で、水に溶けにくいが、有機溶媒にはよく溶ける。高濃度のベンゼンを急性暴露すると、めまい、嘔吐、頭痛、眠気、よろめき、平衡感覚減少、昏睡などおもに中枢神経系統に影響を受ける。

セレン 0.1mg/L以下 0.1mg/L以下
1,4-ジオキサン 0.5mg/L以下 0.5mg/L以下

東京23区では平成24年8月1日より、柏市では平成24年5月25日より基準適用。

窒素 120mg/L未満
リン 16mg/L未満
ほう素とその化合物 河川域 10mg/L以下 10mg/L以下 柏市では、平成14年7月1日より適用
海域 230mg/L以下
アンモニア性、硝酸性、亜硝酸性窒素 合計380mg/L未満